
米需給、8年産は「過剰」懸念強まる 食糧法改正で流通把握を厳格化へ
2026-04-23
農林水産省の国枝玄・農産局農産政策部企画課長は16日、農政調査委員会が主催する第6回米産業・米市場取引懇話会で、3月に改定されたコメの需給見通しと、現在国会で審議が予定されている「食糧法改正案」の骨子について説明した。現行の7年産米は消費の鈍化により在庫が積み上がっており、次作の8年産米についても主食用への作付偏重による供給過剰のリスクが浮き彫りとなっている。
8年産、主食用生産が目標を大幅超過の試算
農水省が示した8年産米(次作)の見通しによると、1月末時点の作付意向を積み上げた主食用米の生産量は約732万トンに達する試算だ。これは同省が生産の目安として提示した711万トンを大幅に上回る数字である。背景には、昨今の価格高騰や、7年産での政府備蓄米買入見送りを受けた「主食用シフト」がある。一方、米粉用や飼料用などの非主食用米は減少傾向にあり、産地における用途配分の再検討が課題となっている。
民間在庫は大幅増、店頭価格も下落基調
市場動向では、供給過剰感がいっそう強まっている。2月末時点の民間在庫(出荷・販売段階合計)は、前年同月比で約95万トン増加した。特に販売段階での積み上がりが顕著で、例年11月をピークに減少する在庫カーブが今年は緩慢な推移をたどっている。 価格面でも変化が現れており、スーパーのPOSデータによれば、1月以降下落が続いていた平均販売価格は3月に4,000円(5kg換算)を割り込み、前年同月比でもマイナスに転じた。生産者価格(相対価格)も10月以降、毎月400〜500円ペースで下落を続けている。
食糧法改正の柱:流通の「見える化」と「民間備蓄」
こうした需給の変動に機動的に対応するため、政府は食糧法の抜本的な改正に踏み切る。主な柱は以下の通り。
- 流通実態の把握強化:報告対象をこれまでの出荷・卸業者に加え、川下の加工業者、仲卸、外食事業者まで拡大する
- 定期報告の導入:規模に応じて月次・年次の報告を義務付け、米が「どこに、どれだけあるか」を精緻に把握する体制を整える。
- 民間備蓄制度の創設:年間10万トン級を取り扱う大手事業者に対し、一定量の保有義務を課す。供給不足時には政府が保有基準率を引き下げることで、市場に米を迅速に放出させる狙いだ。これは石油備蓄の仕組みを参考にしている。
「生産調整」規定は削除、理念としての「需要に応じた生産」へ
また、改正案では実態と乖離していた「生産調整」に関する強制的な条項を削除する一方、「需要に応じた生産」を基本理念として明記する。国枝課長は「ペナルティや特例を設けるものではなく、あくまで自主的な取り組みを促す理念規定だ」と強調し、一部で懸念される「減反の強化」を否定した。改正案は連休明けから国会で審議される見通しである。
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